38 その後◇橋の完成◇

鉄骨の組み立てが完了したあと、雪で一旦お休みしていた橋の建設作業ですが、3月に入って少し寒さが和らいできましたので、上面に敷く木材の加工をすることにしました。



以前に集めておいた丸太です。
太さ約20cm、長さ約2m。全部で40本位あります。
この丸太から簡易製材機を使って、橋の表面に張る踏み板を切り出します。

ところが、簡易製材機のパーツを自宅から山へ運び、組み立ての準備を始めたところで、突然のドクターストップ
「第35章 賞味期限迫る」でお話しした事情により、急遽作業は中断することになってしまいました。

<入院・手術から一年と三か月後>

作業の中断から一年と三か月が経過し、しんどかった抗がん剤治療も全て終って、後は他臓器への転移の有無をこのあと5年の間、血液検査とCT検査で継続的に経過観察を受けることになりました。

今の状態は一応身分的には病人なのですが、多少抗がん剤の副作用で手足のしびれは有るものの、日常生活的には特に問題はありません。なにもしないでただ時間を過ごすのは精神衛生的にも良くないし時間ももったいないので、懸案のロジェクトの後始末を少しづつ無理をしない程度に始めることにしました。

まづは、一時建設を休止して未完成のままになっている橋を完成させることにします。プロジェクト中止により今後山へ行く機会も減って十分な橋のメンテナンスも出来なくなると思われましたので、見た目よりも実用性重視で、木製の「渡り」をやめてより耐久性のある材料に変更することにしました。 色々と検討した結果、強度も耐候性もある樹脂パレットを敷くことを思いつき、早速中古の重量用樹脂パレットをネットで注文しました。



重量用樹脂パレットを仮置きしてみた様子です。

2016年4月9日

ビールパレットと呼ばれる1100x900x150の樹脂パレットを5枚入手しました。キリンビールのロゴが付いています。
橋の長さは5mなので、短辺を並べると全体で50cm寸法が余りますので、これをパレット間の隙間に均等に分散することにします。 鉄骨へは四隅を16mmのボルトで固定することにし、早速ボルト穴の加工を始めます。



現地に発電機を持ち込んで、自作コアドリル(いろいろ写真集)で18㎜の取付穴を20箇所あけました。

2016年5月1日

穴開け加工のあと、再び入念に錆止め塗装と上塗りを行い、パレットを敷き詰めて出来上がりです。これでやっと人の往来が出来る状態になりました。
歩いてみた感想ですが、揺れや軋み・異音などは全く無く、まるで地面の上を歩いているような安心感があります。運搬車も通行させてみましたが、全く不安はありませんでした。

橋の建設を思い立ち、材料の鉄鋼を必死で谷底から運び上げた時から数えて早3年が経ちました。途中、予期せぬことも有りましたが何とか完成させることが出来ました。





2016年6月18日

上の写真からほぼ一年が経過しています。
新しい作業も無くなり山へ行く回数はめっきり減りましたが、先々長くこの橋が使えるようにもう少し手を加えることにしました。

樹脂パレットの補強です。樹脂の表面に直接運搬車のクローラが接触すると、荷重で割れたり摩耗したりする心配がありましたので、最終的にパレットの上に更にコンクリートの板を敷いて耐久性を持たせました。

もうこれ以上何も手を加える必要は無さそうです。
これで「橋の建設プロジェクト」は完結とします。





2017年8月27日