37 山小屋プロジェクト中止決定

抗がん剤治療も終わりに近づき、山小屋プロジェクトの今後について思案をしていたころでした。通院のために駅に向かって少し急ぎ足で歩いていると、突然胸が苦しくなりました。 初めて経験する症状で、どうしたことかと足を止めて考えているうちにスーと胸苦しさは消えてしまいました。1分にも満たない短時間の出来事でしたので特に気にも留めずそのまま定期検診を受けて帰宅しましたが、ひと月ほど経ったときにまた同じような症状が現れました。 念のため次の診察時に主治医の先生(消化器が専門)に相談してみると、一度だけなら問題ないかもしれないが何度も繰り返すようなら一度内科に診てもらうようにと指示されました。

日を改めて同じ大学病院の内科(循環器)を受診したところ、通常の心電図検査では特に異常は見られませんでしたので、念のため負荷を掛けた状態での心電図検査を受けることになりました。

この心電図検査はトレッドミル法と言い、電極を付けたままランニングマシンに乗り、歩いたり走ったりして運動中の心電図と血圧などを測定します。 オヤジにはけっこうきつい運動でしたが、負荷を掛けている最中には特に異常な波形は現れず、マシンが停止した後になって波形の乱れが現れました。 この検査の結果、狭心症の疑い有りということで、血管狭窄の程度をより詳しく調べるためにカテーテル検査をすることになりました。 カテーテル検査も2泊3日のお泊りです。もうすっかり病院通いも慣れましたので、要領よく入院の手続きをして検査を受けることになりました。

カテーテル検査は初めての経験ですが、こちらは手首の局部麻酔のみで意識は有りますので、動脈にカテーテルを挿入して検査が行われているあいだじゅう検査の様子や手術室の観察ができます。 残念ながら胸部の巨大なレントゲン装置が視界を妨げていましたので、カテーテルの移動している様子を映しているモニターは見ることは出来ませんでした。退屈しのぎに手術室の様子を細かく観察した処、手術用の機械は全てドイツのSiemens(シーメンス)社製でした。

検査が終わり、病室で待っていると執刀してくださった先生が説明にいらっしゃいました。 持参されたノートパソコンで血管の映像を観ながら説明していただいたところによると、心臓の冠状動脈に狭窄が2ケ所連続してあり、上流の狭窄部分は心電図検査から予想していたよりけっこう重症だそうで、早めに手術をした方がよいということになり、急きょ手術日程を追加して2泊3日の検査入院の予定がそのまま1週間のお泊りになってしましました。丁度クリスマスイブから大晦日までです。

治療方法としてはステントを挿入してまづは上部の狭窄部を広げることになりました。下流の狭窄部はまだ50%近く開口面積があるので、上流の治療結果の影響などを観ながら改めて検討することになりました。オヤジとしては検査のつもりが全く予想外の展開になりましたが、とりあえず胸部切開でのバイパス手術にならなかっただけはホットしました。

手術はカテーテル検査と同じ部屋ですが、今回はかなり大勢のスタッフがいます。ステントの挿入手術をする担当医のほかにバルーンの圧力を調整する人がいたり、部屋の後方にはもう一人の先生が別のモニター画像を観ながら執刀医と意見交換をしていました。 今回も手術中に直接画像を見ることが出来ませんでしたが、後でステントが挿入されて血流が回復した動画を見せて頂きました。これは希望すれば記念に(?)CDに焼いていただけるそうです。

今後の予定としては、8か月後に再びカテーテル検査をして再狭窄が起こっていないかどうかを確認するんだそうです。それまでは血液をサラサラにする薬で血管内のプラークの発生を抑えながら経過観察を続けることになります。一応狭心症の症状が現れた場合に備えてニトロ舌下錠が処方されました。 この血液サラサラにする薬は、一方で血液が凝固しにくくなりますので、うっかり出血するとなかなか止まりません。それにちょっとした打撲でもすぐに内出血します。ですからケガなどをして出血が止まりませんと大事になってしまいますので注意が必要です。

ウーン!
これはちょっと山小屋プロジェクトの続行はむつかしいかもナ?

癌の治療とこの狭心症の治療を抱えていてはとても山小屋プロジェクトを続けることは無理そうなかんじです。日常生活が不自由かと言うとそうでもないのですが、
山に入っているときに万が一のことがあると大変です。
今は問題なくてもどんどん体力は落ちていきます。
これまで以上に注意をしても何か予測しないことが起きるかもしれません。
何かが起きてから急にプロジェクトを中止しても、後始末も出来ないかもしれません。

周りに迷惑を掛けないためにもここはやはり早めに決断することにします。
2016年1月10日ー山小屋プロジェクト中止決定!!