30 道路補修...石畳工事

林道入り口から資材倉庫までの道は最初に開通してからすでに4年になります。これまで何度か土を追加したり砕石を入れたりして補修してきたのですが、 最近では運搬車の登坂も困難になるほど損傷がひどくなり、抜本的な改修が必要となってきました。

当初は自然に植生が進んで地表を保護してくれると思っていたのですが、ここは日当りがあまり良くないうえに、常に人や運搬車の通行があるのでなかなか植物が根付くことができません。 特に運搬車のキャタピラによるダメージが一番大きく、一度上り下りすると地表がかなり掘り返されてしまいます。そして雨が降るとそこを雨水が勢いよく流れ、たちまち溝を穿って表土が流されてしまいます。 まだしばらくのあいだは運搬車のお世話になりそうなので、やはりキャタピラーに負けないようになんとか対策をする必要があります。


左は2008年5月13日に開通直後の様子で、右は2012年5月19日に撮影したものです 坂の上から同じアングルで撮っていますが、右側の写真で道の中央部分がへこんでいるのがよく判ります。4年間でかなり土が流失し表面もガタガタになってしまいました。

対策方法としてはコンクリートで全面舗装するのが工法的には一番楽なのですが、距離が有るのでかなりの出費になりそうです。しかし道楽にあまりお金を掛けるわけにはいきません。 考えた末、木材の運搬時に見かけた林道のあちらこちらに散乱している岩石を集めて、それを敷き詰める事にしました。これなら材料費はあまり掛らず、手間は掛ってもオヤジの人件費はタダです。
完成すれば「熊野古道」のような石畳の出現です(^_^)/。

と言うことで、
今年の冬の作業予定として前章の「杉林の手入れ」の次に石材の採取を計画していたのですが、いざ冬が来ると当然ながら山には雪が降ります。そして林道の石は雪に埋もれてどこに有るのか全く分からなくなってしまいました。 これは誤算でした、と言うよりただの馬鹿です。
歳は取りたくありませんナァー(^_^;

しかし世の中「捨てる神あれば拾う神あり」で、しかたなく己の見通しの悪さを反省しつつ雑木の伐採作業をしていると、集落への入り口付近で上水道のポンプ小屋建設が始まりました。そこでは基礎を造るために重機で大量の岩を掘り起こしています。 これはチャンス。さっそく現場監督にお願いして掘り出した岩石を貰うことにしました。

余談ですが、こんな限界集落のような所でも、人が住んでいる限り、行政としては都市部と同レベルのインフラサービスをしなくてはいけないのでしょうね。 僅か6軒の集落で、そのうちの1軒はもう人が住んでいないような辺ぴな所へわざわざ遠く離れた市街地から延々と道路を掘り起こして水道管を埋設し、水圧を維持するために特別にポンプ小屋まで造ろうとしています。
・いったいこれにどれだけの税金が投入されているのでしょうか?
・山の湧き水を利用した今の簡易水道ではいけないのしょうか?
貧乏人はついついお金のことを心配してしまいます。

工事現場から掘り起こされた岩は一ヶ所に集められて大きな岩山のようになっています。 そこから道路に敷き詰めるのに適当な形と大きさのものを選ぶのですが、積み重なった岩山から石材を選別してそれを運搬車に載せるのは結構大変です。運び出すのも運搬車に載せるのも全て人力で行いますので、あまり重いものは運べません。しかしながら、こんなに良い機会はめったにないので(いや、二度とないかも)幾つかデカイ岩も確保しておくことにします。



こんな感じで石を運んでいます。
工事現場から山林入り口まで約Ⅰキロ。写真ではチョット判りませんが、坂道になっています。

2012年2月11日

運搬車の搭載能力は実質400kg程ですが、素人には積み込む岩の重さは見た目では分かりません。オヤジの最大持上筋力を約50kgと仮定し、手で持った感触でひとつひとつの重さを推定して積載するのですが、欲張って出来るだけ効率的に運搬しようとするので、何回か作業を重ねるうちに次第に搭載量が増えていってしまいます。 そして何度目かの運搬時、ついに運搬車が故障して動かなくなってしまいました。

エンジンを高馬力のものに載せ替えているので、結構搭載してもほとんどストレスなく走っていきます。そのためエンジン以外の駆動部の限界をついつい失念してしまっていました。駆動輪のスプラインが負荷に耐えられず欠けてしまったのです。
トホホッ...!!

修理の為に分解すると、スプラインは意外なほど細目の設計で、直径はわずか20mmしか有りません。それがキレイに無くなっていました。思がけぬ故障と作業の中断にガックリしながらメーカーに連絡して部品を取り寄せましたが、送料込みで13,000円も掛ってしまいました。


実はスプラインが欠ける前に多少気掛かりなことが有ったのですが、なんとなく見過ごしてしまっていたのです。それは走行中にゴムクローラが転輪と接触する部位の変形が結構大きく、ゴムの表面も若干剥離ぎみの様子だったので「少し重すぎるかなァー」とは思っていました。ただ道路に多少の段差があっても速度が落ちる事も無く、楽々走行してくれるのでそのまま使い続けていたのですが、今から思えばかなりの積載オーバーだったようです。

修理した後は重量オーバーをしないようにすこし少なめの搭載を心掛け、1カ月程掛けて約10トンの岩を集めました。林道に落ちている岩だけを拾っていたらとてもこれほど大量に集める事は出来なかったでしょう。ポンプ小屋工事はまったくラッキーでした。



ポンプ小屋工事現場と山林入り口の間を何十回と往復し、約ひと月かけてこれだけの石を運びました。

2012年3月11日

さて、石畳にする作業ですが、道路に水糸を張って計測したところ、傾斜を一定にすると約21度になりました。これなら運搬車の登坂も問題無さそうです。 ただ方向転換用の踊り場を設ける余地がありませんので、出来るだけ道が直線になるように少しルートを削り直すことにします。 また山手の土砂崩れを防止するために丸太の土留めを全体に施すことにします。

実はまだこれだけでは作業を開始することが出来ません。...と言うのは、石敷きの現場へ石を降ろす時は坂の途中で車両を一旦停止させておかなければならず、そのためにはどうしても駐車ブレーキが必要となります。そこで、小型運搬車を石材運搬専用車に改造することにしました。

自転車用のサーボブレーキ(内側拡張式ブレーキ)をギヤボックスのプーリーに取りつけてパーキングブレーキとします。ついでにエンジンを交換し荷台も改造して約70kgの軽量化を行いました。これらの改造に結構時間が掛ってしまったので、実際の道路作業の開始は石を集め終わってから2ヶ月も後になってしまいました。



改造前
オリジナルエンジンはシバウラGED25R-2(7HP/2000rpm)
搭載位置は車両の左側。
荷台は強度重視で、9㎜の鉄板を貼っています。



改造後
エンジンをクボタGN185-EJ(5HP/2000rpm)に換装。
搭載位置も右側に移動。
石を積載するため荷台を厚さ30㎜の木製に変更しています。

最初の作業は山側の土留め用の丸太の収集です。 実はここでまた目を負傷してしまいました。(^_^;
材木を集める為に斜面を登っている途中に、藪の中にチョットした段差があったので、そこを勢いよく登ろうとした時にヤッテしまいました。

今度は真正面からの突きです。
藪の中なので意識がすこし頭の上の方にいっていたのと、下から突き出ていた枯れ木が地面と同色だったため、目に衝撃を受けるまで全く気が付きませんでした。 少し出血しましたが幸いにも黒目は外れていましたので最悪の事態には至りませんでしたが、正直ヤバかったです。災難はいつやってくるか分かりません。これはマジで四六時中安全メガネを装着する必要性を感じました。

もちろん、すぐにあの美くしい女医さんに診て貰いにいってきました。


ダメねえー

土留めには3~4mの丸太を全部で35本使用しましたが、重ねた丸太の下端が新しい石畳の地表面になります。こうして見ると相当な量の土が流れ出たのが良く分かります。


写真を見ると道の中央がへこんでいるのがよく分かります。この左側の高さが元の地表面の高さです。

2012年6月14日

石を敷いて行く時にこの流れ出た土を補充する必要がありますが、どう手当てするかは今のところハッキリとした目処は付いていません。 坂の下の方は比較的土の流失が少ないので、ここは改めて土の補充は必要なさそうです。 まあ必要になった時に何か考える事にして、とりあえず作業を前に進める事にします。

<つづく>


<続き>

一時梅雨で工事を中断していましたが、補充用の土を採取する目処がついたので梅雨明けとともに工事を再開しました。 石の敷設は坂の上部(資材倉庫の前)から始め、下へと進めていきます。大小さまざまな石を敷き詰めていくのは結構難しく、一日頑張っても1メートル位進むのが精一杯です。 同じような作業を繰り返しながら、最後の石を敷きおえたのはそれから約一年後でした。
作業の様子は「いろいろ写真集ー道路の補修ー石畳化」で詳しく紹介しています。


やっと石畳が完成しました。
冬の休工期間を除く実工事期間約10ヶ月。
使用したセメントは25kgx32袋、工費は骨材を入れて約6万円でした。
上の写真と同じ撮影アングルです。
2013年9月13日