28 大失敗ー材木が腐

尾根への材木の移動を終えたあと、2ヶ月ほど掛けて春に新しい樹木を植えるための灌木伐採と土ならしをしていたのですが、それも年末までに一段落したので、今のうちに材木の皮剥ぎをして山小屋造りの準備をしておくことにしました。また、備蓄した材木の数で建設できる山小屋の大きさが決まりますので、皮剥ぎのついでに木材の長さや太さ・反り具合などを調べて一覧表を作っておくことにします。

さあ、いよいよ皮剥ぎです。
道具は以前資材倉庫用の丸太造りで使用した竹べらと、今回は銑(セン)の代わりに厚手の両刃の鎌、それにナタで行います。 ただし、水とタワシを使った薄皮取りは今回はパスです。あまりにも寒くて作業後の手洗いでさえ手が凍えて痛くなるほどです。とても水仕事などは出来ません。ホンマデス(^_^)


ホワイトクリスマスになりました。皮を剥いだあとからあとから雪が表面を覆っていきます。

このあと雪はさらに激しくなり、まるで吹雪の様になってきました。スタッドレス+チェーン+4WDですが、そのうち林道が通れなくなるんじゃないかと不安になりまづ。
2011年12月25日。

今日はクリスマスイブの土曜日ですが、巷のにぎやかさとは対照的にここは静寂そのもので、時折風に乗って白い粉雪が音も無く舞い散っているだけです。そして手足の指先から寒さがしんしんと沁み込んできます。

作業は比較的容易です。長期間保管している間に幹と樹皮の密着力も弱まり、皮下組織も柔らかくなって簡単に皮を剥がすことができます。短時間で一本目の処理が終わり、二本目、三本目と調子良く作業が進んでいきます。


皮剥ぎが済んだ木材。右から順に:
長さ4.9m、7.0m、
6.8m、6.3m、4.2m。

順調に皮剥ぎは進みますが、このあと重大な事実が判明しました。

気持ち良く皮を剥いでいるとふと丸太の表面が一部柔らかくなっていることに気が付きました...「何だろう?」... 調べてみると、な・な・なんと腐食しているではありませんか! あわてて他の丸太も調べてみるとかなりの本数に腐食が発生しています。

ガッガァーン!!
大ショック!!

大事件です。
下手をすると山小屋建設計画を根底から見直さなければならないかもしれません。

あまりのショックにしばし茫然...どうすべきか考えがまとまりません...モチベーションが一気に下がって行きます。
しかしこのまま手をこまねいていても仕方がありません。なんとか気を取り直してまづは全ての皮剥ぎを済ませ、そのあとでじっくり被害状況を調べることにしました。それにしても「トホホ...」です。(;_;)

腐食の原因はやはり保管の仕方にあったようです。
資材倉庫用の丸太を加工している時、皮を剥いだ直後から急激に木材の乾燥・収縮が始まり、氷が割れるようにビシビシとひび割れが発生したので、今回は時間を掛けて乾燥させようとあえて樹皮を付けたまま保管することにしました。 一応皮むきのタイミングについてはネットでいろいろと調べてはみたのですが、これに関する記事は特に無かったのであまり深く考えることはしませんでした。

とは言っても、保管に際して全く腐食の心配をしていなかった訳ではなく、木材同士の間隔を開けて湿気がこもらない様に空気の通りを良くし、十分とは言えないまでも出来るだけ陽が当たる場所を選んだつもりです。 むしろ腐食よりも皮付き保管による虫食いの被害の方が心配でした。結果的にはどうやらこの中途半端な日当たりが腐食菌にとって適度な温度と湿度をもたらしてしまったようです。 その証拠に、自宅に一本だけ残っていた資材倉庫用の丸太には全く腐食がありません。これは皮付きですが十分に乾燥した条件で保管されていました。また、木材保管場所のすぐ横に皮を剥いだ状態で置いてあった別の丸太にも全く腐食はありません。ほかにも皮付きながら日陰のかなり湿った場所に置いてあった丸太にも腐食は有りませんでした。


表面を少し削ってみました。腐食の程度は年輪にして2~3年分、約5mm程の深さですが、安全を考えればかなり削り取らなければいけないでしょう。

腐食は丸太全体ではありません。保管されていた時の他の丸太との位置関係で部位はまちまちです。


全ての木材のコンディションを詳細に調査した結果、無傷なのは全体の僅か3割でした。残り5割はなんとか部分的なトリミングで使用可能と思われましたが、残りの2割は構造材としては使えそうにありません。 腐食を発見した時はかなりショックを受けましたが、注意深く材料を選別して使えばなんとか計画を続行出来そうなことが分かったのでまずは一安心しました。

しかしこれ以上材木が痛まないうちに出来るだけ早く腐食部分を削り取って必要な保護処理をしなくてはなりません。そのためにはなんと言っても山小屋建設を早期着工することです。 山小屋の本体工事を始める為にはまだまだやらなくてはならないことが山ほどあるのですが、段取りを整えていては遅くなるばかりですので、春が来て地面が凍らなくなったら多少の不便や無駄を覚悟でさっそく建設に着手したいと思います。


木材は長すぎて巻き尺では測れないので、光学式のメジャーで測りました。100円ショップのシルバーマークを反射板代わりにしています。
このシルバーマークはレーザー光を良く反射して純正反射板の代用として十分使えます。
2011年1月8日

尾根にはこれらとは別に3年前に苦労して運び上げておいた長さ8メートル程の木材が20本程保管してありましたが、これらは全て皮付きで保管されていたため残念ながら全滅でした。 他にも道を造る時に伐採した直径15センチ程の材木が約20本あります。これらは伐採したあと葉を付けたまま放置する「葉枯らし」という方法で乾燥させましたので、虫食いや腐食などは一切なく完璧に近いコンディションを得る事が出来ました。ただ柱として使うには少々太さが足りないのが残念です。

間伐材のように枝を払われてブツ切りになった材木は乾燥させるのが大変です。半年たっても内部はじゅくじゅくと水分が残っていますし、皮を剥いで乾燥を促そうとすれば中心部と外部の収縮率の違いでパックリと割れてきます。 知識が無いのであくまでも私見ですが、間伐材は半年以内に皮を剥いだ方が良さそうです。その後うまく乾燥させられれば良いのですが、出来なければ背割りを入れて全体が割れるのを防ぎ、加工後の収縮・変形を吸収できるような寸法決めと造作を行うことが肝要でしょう。

山小屋造りは一回きりのブッツケ本番ですので今回の教訓が次に生かされることはありませんが、これからの作業もとにかくひとつひとつ慎重に行っていこうと思います。