21 倉庫用の丸太加工
さていよいよ簡易製材機の試運転を兼ねて資材倉庫用丸太の加工開始です。 軽トラに2~3本づつ間伐材を載せ、何回か往復して20本程を自宅庭へ運び込みました。簡易製材機と間伐材で庭の半分近くが占領され、まるで材木屋の資材置き場のようです。これは早く片付けないと家族からブーイングが起こりそうです。 ご近所も「何が始まるの?」と興味津々です。 まずは杉の皮むきを行います。 皮むきの三種の神器。 たわし 銑(セン) 竹べラ 表皮を剥いだ後は木部表面に残った薄皮を取るのですが、やってみるとこれが一番面倒な作業でした。最初はこまめに竹べらでこすっていたのですがとんでもなく手間が掛り、おまけに中腰作業のために腰痛を起こしそうになりました。木材を扱う本職は超高圧洗浄機を使って水圧で皮を剥ぐようですが、DIYの世界にそんな高額な投資はできません。 そこでいろいろと考えた末、野菜の皮むき用ゴム手袋を使ってみる事にしました。これは結構効果がありかなり作業効率を上げる事が出来ましたが、問題は数本も作業すると手袋表面のゴムのイボイボの角が取れてだんだんと性能が落ちてくることです。もう一工夫しないと作業効率が悪くて仕方ありません。 ホームセンターへ出かけ、何か使えそうなものは無いかと店内を隅から隅まで探し歩いた結果、天然素材の亀の子たわしが有ったのでさっそく試してみました。結果は「大々正解」です。皮むき用のゴム手袋よりも弱い力で、しかももっと綺麗に薄皮が取れます。それに値段も安く耐久性も問題ありません。超お勧め品です。使うときは丸太の表面を十分水でぬらしておくのがコツですよ(^_^)。 最初の加工は立て柱の下端の直角切りです。
次に垂直切り用の冶具にチェンソーを取りつけます。
丸太の輪切りはうまくいきませんでした。 なにかほかの方法を考えなくては...。 後から考えると単にチェンソーの切れ味の問題で、たぶんこの方法で間違いなかったと思います。 気を取り直してホゾ穴加工のための墨付けを行います。丸太は表面がでこぼこでおまけに曲がったものもありますので、綺麗に製材された角材に墨付けするような具合にはいきません。そこで透明なプラスチックで墨付け用のガイドプレートを製作し、これを木口の両端にネジ止めして墨付け糸を少し浮かせるようにして行いました。 チェーンノミの加工風景です。 木材は固定時に左右のフレームに対して水平・垂直を出しているので、チェーンノミは単純にブレない様にセットするだけです。 ホゾは差し込まれる相手穴の仕上がり寸法に合わせて一点一点個別に寸法調整して行くのですが、ネットでいくら調べてもホゾと穴のシメ代をどれ位にすればよいのか全然ヒントが有りません。こんなに重くて大きな丸太は一度打ち込み始めたら途中でつっかえても簡単に抜き差しなど出来ません。だからと言ってゆるすぎてガタが出ても問題です。 事前に仮組みをして確認するような広いスペースも有りませんので、ここは経験(0%)と勘(100%)で決めるしかなさそうです。 後戻りの出来ないぶっつけ本番なので、慎重に寸法を決定します。ハンマーで叩いてみて打痕から有る程度木材の変形度合いを予想し、加工面の平行度の誤差を考慮したうえで最終的に荷重負荷方向はプラス0.2~0.3ミリ、無負荷方向は±0ミリとしました。 実際には湿度による木の収縮もあり、数字では決められないかもしれません。 はたして結果はどうなるのか?こうなったら運を天に任せるしか有りません。 今回この簡易製材機で実際に丸太を加工してみた感想は結構満足のいくものでした。まだ改良すべき点は多数ありますが、電動工具を使った加工は結構うまくいきました。エンジンチェンソーでの縦切りは完全に失敗です。水平切りはまだ試していませんがあまり期待しない方がいいかもしれません。 「いろいろ写真集」に簡易製材機の詳細を紹介しております。 丸太のセットや工具のセットに時間が掛る点を我慢すればほぼ問題なく使えます。逆にこの製材機が無ければ丸太の加工はほとんど出来なかったと言ってもいいくらいです。 冶具の大きさや加工方法などいろいろと課題も分かりましたので、次に母屋を建てる時にはもう一台改良版を製作しようと考えています。 とにかく段取り替えに時間の掛ったのが最大の要因ですが、途中で新たな冶具の製作や倉庫の設計変更に伴う追加工にも時間を費やされ、なんとか全部の丸太の加工が終ったのは3月も末近くになってしまいました。 加工作業を始めたのが12月の中頃でからほぼ4カ月間寒い冬空の下で庭作業をしていたわけで、我ながらなんと根気の良いことでしょう\(^0^)/ 主要な材料の加工がほぼ終わりました。 スジカイはおおよそのサイズにカットしておき、棟上げをしてから現物合わせで調整します。 また屋根の垂木等も現地で加工しながら組み立てます。 2010年3月20日。 今回、簡易製材機の改良ヒントも数多く得られましたが、間伐材そのものに付いても多くの教訓を得ることができました。 木材はいきものだとよく言われますが、まさにその通りだと実感しました。まだ乾燥の十分に済んでいない木材は寸法の変化が激しく、加工の途中にもピシピシと音を立てながらどんどん収縮していき、それと同時に墨付け線も微妙に狂いだします。 出来るだけ材料のストレスを逃がすため直径の半分近くまで背割りを入れましたが、それでも皮むき後の表面と内部の収縮率の差は吸収しきれず、ほとんどの丸太であちらこちらに次々と割れが発生してきました。 はやり使う前に時間を掛けて中心部まで十分に乾燥させておかなければなりません。今回の間伐材は切り出しから半年以上経っていましたが、カットしてみると内部にはまだジットリと水分が残っていました。 保管してあった場所も乾燥には適しているとは言えない環境でしたので、母屋用の間伐材はさっそく保管場所を変えてもっと芯まで乾燥するようにしようと思います。 |
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