08 夏はやっぱり暑い

「ちょっと行ってくるわね」。
女房殿は遠方に住む母親のお供をして盆の墓参りに行くため、3日程出かけるという。3日では少々短いがこの間に少しでも山仕事をしておこう。

「わかった。オレもその頃ちょっと出かけてくるよ」。
“ちょっと出かける”と言ってもそれを深く詮索されないところが長期不在亭主(ここまでで15年間単身赴任)の存在感の薄さを如実に物語っているが、今回はかえって好都合。ありがたく受け入れることにする。

<2006年8月17日。1日目>
先回来た時よりも更に一段と雑草の生育も進んで、2本の轍以外はかなり背丈が伸びている。強行突破できない事はないが車が傷だらけになるので、まずは道路の確保をすることにする。

バンの後部ハッチを開け、「弁慶の七つ道具」の中から長い柄の刈払鎌を取り出してさっそく作業開始です。 林道入り口から現地までけっこう距離があるので、全部をきれいにしていたらきりがありません。車幅だけ最低限のスペースを切り開くことにして、背丈の高い雑草だけを、それも比較的腰高の位置で刈払っていきますが、とにかく暑い。スーパーでまとめ買いしてきたスポーツドリンクで水分補給しながら進むのですが、飲んだ後からたちまち汗となって流れ出し、すぐにヘロヘロになってしまいます。

「フー。やっぱり歳だわ」
「やっぱり機械がいるなアー。」
「次回までに草刈機を調達しておこう。」

頻繁に休みながら1時間位でなんとか車の通るスペースだけ確保。でもこれだけですでにかなり体力を消耗してしまいました。



林道には雑草がものすごく生い茂って車の侵入を拒んでいます。
奥に見えるのは車のフロントガラスです。

鎌を使って手で刈りましたが、暑くて暑くてフラフラになりました。草刈機は必需品です。

今回は新しいトングを作ってきたので早速試してみます。1号機よりリンクのレバー比を大きくしているのでグリップ力は格段に上がっています。横に引いてもほとんどスリップしません。しかし、これが逆に裏目に出てしまいました。

何本目かで大物倒木を引いている時、幅40ミリ厚さ9ミリの鉄板(1号機は厚さ6ミリ)で作ったトングががグニャリと曲がってしまいました。

1号機はハサミの部分が丸棒で出来ており、リンクのレバー比も小さい(グリップ力が小さい)ので、少々横に引いても適度にトングが傾いてリンクにあまり曲げの力が掛かりません。しかし、2号機はガッチリと丸太をくわえているので、トングが噛んだままの姿勢で横に引くことになり、もろにリンク部に曲げの力が加わってしまったのです。これだけの板厚があれば大丈夫だろうと思っていたのですが完全に設計ミスでした。 暑い上に思わぬ不具合が発生して一気に残りの体力も消耗してしまいました。

「ビールが欲しいイイ...!!」



トング2号が曲がってしまいました。
薄そうに見えますが鉄板は9mmです。
翌日こいつに補強リブを追加しました。

<2006年8月18日。2日目>
今日はトング2号機の修理と補強です。曲げを伸ばして9ミリの鉄板でリブを追加。これで少々の事では曲がらないはずですが、次からは少し気をつけて作業をすることにします。ついでにコマツ君のメンテもすることにして、小松の代理店へエアーフィルターとオイルフィルターを買いに行きました。エンジンオイルとラジエーターのクーラントも購入。

しかしとにかく暑い。コマツ君のパーツ買いのついでにリサイクルショップで保冷温庫を買いました。冷たい飲み物を買ってもすぐに生ぬるくなってしまうので少しでも冷やしておこうと思ったのですが、これが全くの期待はずれ。外気温よりマイナス20℃保持のうたい文句なのですが、これは全く扉の開閉をしないで何時間も置いた場合の事であって、中身を取り出すために扉を開ければそこで庫内温度は振り出しに戻ってしまうのです。私のように30分毎に水分補給のために扉を開けていたのでは全く保冷効果は有りません。保冷材を入れたクーラーボックスの方がよほどましです。




冷温蔵庫
リサイクルショップで2,400円で購入しましたが、全くの期待外れでした。

今日は買い物とトングの修理でほぼ半日以上を費やしてしまったので、このあと数本の丸太の引き出しをしただけで本日の作業は終わりました。
作業中は前回同様全く蚊は出なかったのですが、今回はやたらアブが多いのに閉口しました。咬まれると痛いので手で振り払うのですが、ブンブン周りを飛び交い、うっとおしいことこの上ありません。こやつらは普段シカやイノシシの血しか吸っていないので、ご馳走(人間)がやって来て大喜びをしているのでしょう。

大きなヘビ(灰色の胴体しか見えず種類はわかりません)とスズメバチもいました。アブとヘビは適当にあしらえますが、スズメバチは怖いのでそっとお帰りになるまで待ちました。


<2006年8月19日。3日目>
奥に進むに従って倒木が重なるように横たわり、だんだんと引き難くなってきました。コマツ君の位置も制限されてきたのでアームを旋回させて横向きの姿勢で引いた時です。いきなり反対側のキャタピラーが浮き上がり、グラリと横倒しになりそうになりました。よもや3トンもの機体が傾くとは思ってもいなかったので一瞬ヒヤリとしました。

「油圧恐るべし!」

その後は少し手ごわい倒木にはコマツ君を出来るだけ正対させ、廃土坂をつっかい棒の様に地面に食い込ませて作業することにしました。




倒木が重なり合ってきました。
上から順番に剥がしていきますが、一体何本あるのか全然判りません。
相当な量です。

この後もミスの連続です。
かなり長い倒木を並べようと水平に吊って作業をしていた時のことです。アームを旋回させていると倒木が勝手にスリコギ運動を始め、先端がアームの根元に激突して、アームと油圧ホースの間に突き刺さってしまいました。

太い丸太ががっちりとはさまってしまって手で押してもびくりともしません。下手にアーム操作をすればホースを引きちぎってしまう恐れがあり、これには参りました。最後はチェンソーで丸太を切り刻んでなんとか危機を脱出することが出来ましたが、やっぱり少し慣れた頃が一番危ないんですよね。反省(--;)




運び出した倒木の整理です。
丸太が暴れて危うく油圧ホースを切断しそうになりました。

倒木はかなり数がありますので、ただ積み上げるだけではいずれ場所が無くなってしまいそうです。そこで、まだ使えそうな木は製材して道具小屋造りに利用して一石二鳥を図ろうと思います。次回来るまでに、丸太から板を挽くための製材機を造らなくては...。