スズキRG500Γ

スズキRG500Γ
メーカースズキ
モデル名RG500Γ
型式HM31A
全長/幅/高2,100/695/1,185mm
ホイールベース1,425m
車体重量156kg(乾燥)182kg(装備)
燃料容量22リットル
エンジン2サイクル水冷スクエア4気筒
総排気量498cc
最高出力64ps/8,500rpm
最高トルク5.8kg-m/7,500rpm
原動機型式M301
変速機型式リターン式6段変速
タイヤ(前)110/90-16 59H(後)120/90-19 64H

▮車両プロフィール▮
1976年から82年まで、WGP(ロードレース世界選手権)GP500クラスで7年連続メーカータイトルを獲得したスズキのワークスマシンRG-Γを忠実に再現した究極のレーサーレプリカです。 水冷スクエア4気筒+ロータリーバルブという基本レイアウトだけでなく、ボア-ストロークからクランクケースの軸間寸法までワークスRG-Γと全く同じというこだわりようです。
1983年に輸出先行でリリースを開始したRG500Γは、翌年1984年2月にスケールダウン版の400ccモデルの国内販売を開始し、さらに同年5月に500ccモデルも国内販売が開始されました。 しかし残念なことにメーカーの自主規制により、国内仕様のRG500Γは95ps(輸出仕様)の最高出力を64psまで落とされてしまいました。 それでも、このスクエア4気筒エンジンと軽量なアルミダブルクレードルフレームに数々の最新技術を詰め込まれた結果、車体は400ccクラスの標準的なボリュームに押さえられ、かつ車重も乾燥重量で156kgと軽量に仕上がったため、 同時期に登場したGSX-R750の107PSに対しても同等のパワーウエイトレシオとなり、2スト特有のパワーバンド回転域での加速はGSX-R750よりも強烈な加速感でした。
公道向け国産2スト最速と呼ばれ、「常にウイリーしっぱなし」、「まっすぐ走らない」など、さまざまな武勇伝が聞かれ、ライダーに2スト500ccマシンの楽しさ、そして加速感の恐ろしさを体験させてくれたRG500Гですが、 '86年までの僅か2年間製造されただけで生産終了となってしまい、その後ビッグ2ストの市場は拡大することなく短命に終わってしまいました。 現在、MotoGPマシンの技術を多数採用したリッタースーパースポーツが登場していますが、やっぱり2ストは別格と考える人は多いでしょう。


156kgという軽量に64psを搭載したスプリントマシンは以外に扱いやすく、街乗りからツーリングまで幅広く楽しむことができました。 2サイクルエンジンの欠点とも言えるピーキーな特性は大排気量のトルクによって打ち消され、かつ4気筒らしいスムーズで軽い吹け上がりで、市街地でも意外なほど乗りやすく、4,000rpmあたりを使ってのんびりと流すことも出来ます。 もちろんアクセルの開度次第では強引な加速も体験することができ、特にSAEC(Suzuki Automatic Exhaust Control)の作動する7.000rpmを超えると爆発的なパワーで軽々と180km/hのメーターを振り切ります。 このパワーの爆発はきわめて強烈で、濡れ道路では怖くて6,000rpmより上は回せないくらいです。 燃費は約15kmとあまりよくありませんが、22リットルタンクのおかげであまり頻繁にスタンドに寄らずにすみました。

ハンドリングは「軽い」の一言で、曲がりたい方向を見るだけでスーと倒れ込んでいく感じで、逆に言えばまっすぐ走るのが難しいくらいです。 右手をひねっているかいないかにかかわらず、曲がり始めは何の抵抗も無く倒れ込み、連続したタイトコーナーでも楽に切り返しができます。 だだ、アクセルを閉じたままコーナーをクリヤしようとすると急激にインに切れ込んでしまい不安を感じることも有りますので、やはり基本に忠実にコーナリング中はタイヤに駆動力をかけていることが必要です。
文字通りのレーサーレプリカでありながら通常の走行にも耐え得るマシンですが、実際のところ公道ではそのポテンシャルの半分も生かすことは出来ず、気軽に乗れるマシンでもないと思います。やはりサーキットこと似つかわしいマシンでしょう。

このバイクにまたがって北は北海道から南は九州まで全国各地を走り回りましたが、生産台数が少なかったせいか500Гには私の愛車以外お目にかかったことが有りません。400Гも数台すれ違ったことが有るだけです。
おそらくもう新しいビッグ2ストのデビューは期待できないでしょう。これからもこの古き良き時代を反映した500Гを大切に残していきたいと思います。


スズキRG500Γ


1995年5月2日
熊本県人吉市大畑町
国道221号線
人吉のループ橋にて

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