メグロスタミナZ7
メーカー | 目黒製作所 |
モデル名 | Z7 |
型式 | --- |
全長/幅/高 | 2,270/820/1,090mm |
ホイールベース | 1,440mm |
車体重量 | ---kg(乾燥)202kg(装備) |
燃料容量 | ---リットル |
エンジン | 空冷4サイクル単気筒OHV2バルブ | 総排気量 | 498cc |
最高出力 | 20.2ps/4,400rpm |
最高トルク | 3.4kg-m/3,100rpm |
原動機型式 | --- |
変速機型式 | 前進4段ロータリー |
タイヤ | (前)3.50-19 (後)3.50-19 |
▮車両プロフィール▮
1956年4月に発売されたメグロスタミナZ7は、大排気量専業メーカーとして知られていた目黒製作所(1925年創業)を代表するモデルで、戦前から発売されていたメグロZシリーズ(500cc単気筒OHVエンジン搭載モデル)の最終進化版です。
メグロZシリーズの歴史は、1937年(昭和12年)に第1号車として日本で初めて個人向けに発売された高級オートバイZ97から始まり、
戦後、Z2、Z3へと進化して1955年(昭和30年)に登場したZ6からは白バイ採用が本格化し、Z7の登場でメグロ=白バイというイメージが決定的になりました。
白バイとして警視庁に納入されたという実績は、当時卓越した性能を持ったバイクであったということの証でもあります。
ビッグシングルの代名詞とも言うべき単気筒498ccエンジンは、20.2ps/4,000rpmをはじき出し、最大トルクは3.5kg.m/3,100rpmと低速トルク型で、ドッ、ドッ、ドッ、という排気音はマニアをしびれさせました。
フレームはZ6をベースにリア部を改良、プランジャー式緩衝器からスポーツユースに適したベロセットのMAC系スイングアーム機構に変更され、走行性能の改善がはかられました。
その耐久性と信頼性の高さから、大型バイクとしては陸王を駆逐してベストセラーモデルとなり、今でもファンの憧れ的モデルとして、大型車としては異例なほど多くの台数が現存しているようです。
【目黒製作所】
創業は1925年で、自動車の修理や部品製作から始まり、'37年に初のオートバイとしてメグロ号を開発しました。
戦後も500ccのメグロZシリーズなどを生産するという、当時の日本では珍しい大排気量専業メーカーとして知られていました。
ところが、ホンダ、ヤマハなど戦後に創業した小排気量を得意とする新興メーカーが力をつけるに従って業績が下降し、
60年にはカワサキと業務提携をするものの業績は上向かず、63年には傘下となって「カワサキメグロ製作所」と改名、
64年についに事実上の倒産となり川崎航空機工業に吸収され、これで戦前からのオートバイメーカーは全て消滅することとなりました。
しかしながらメグロの伝統はカワサキ車に受け継がれ、Kが後の名車「カワサキ 650W1」(通称ダブワン)の原型となり、
更に後年のカワサキ W650、W400、W800 にまで影響を及ぼしています。
メグロが開発したロータリー・チェンジ式4速足動ミッションは現在でも多くのビジネスバイクで採用されています。
ある日、友人が偶然、近くにある解体屋のヤードにこのバイクが有るのを見つけ、知らせてくれました。このモデルは生産終了からまだ5年しか経っておらず、なぜ解体屋へ運ばれてきたのか不思議です。 車体には特に損傷は無く、腐食もほとんど有りませんでした。解体屋のオーナーが一生懸命始動を試みたらしく、バッテリーは新しいものと交換されていましたが、結局始動は諦めたようでした。 ということで、不動車として当時の金額で4,000円(R3年の貨幣価値に直すと約15,000円位)で引き取ってきました。
家に戻っていろいろと調べてみると、キャブに燃料が来ていないことが分り、結局はエンジン不動のよくある話で、原因はガス欠でした。
燃料系を掃除してガソリンを入れてやるとエンジンは見事復活しました。
ただ、始動するにはコツが必要で、へたにキックをすると強烈なケッチンがかえってきます。これには少し恐怖を覚えました。
しばらく後で、点火タイミングが少し前にずれていることが判明したのですが、当時の私にはほとんどメカの知識は無く、ましてやポイントカムの調整ナットが左ネジであること(かなり後になって知りました)など知る由も有りません。
毎回エンジンをかけるたびにビクビクしながらキックをしていました。
いったんエンジンが掛かってしまえば、これぞビッグ単気筒。OHV500cc。まるで馬のように一発一発の爆発で蹴り上げるように疾駆します。 現在のバイクの感覚からすればアクセルを全開にしてもたいしたスピードは出ていないのですが、この人馬一体(?)のような感覚がたまりませんでした。
1965年のいつだったかは忘れましたが、解体屋でこれを見つけたました。
Z7は本来シングルシートなのですが、写真の様にタンデムシートが付いていました。
前のオーナーが改造したのか、オリジナルでタンデム仕様が有ったのか分かりませんが、友人は貴重なオリジナルタンデム仕様だと言っていました。真偽のほどは不明ですが...。
(自宅玄関前にて)