カワサキZ750GP
メーカー | カワサキ |
モデル名 | Z750GP |
型式 | KZ750R |
全長/幅/高 | 2,170/780/1,130mm |
ホイールベース | 1,460m |
車体重量 | 216kg(乾燥)233kg(装備) |
燃料容量 | 21.0リットル |
エンジン | 空冷4サイクルDOHC並列4気筒 | 総排気量 | 738cc |
最高出力 | 70ps/9,500rpm |
最高トルク | 5.8kg-m/7,500rpm |
原動機型式 | KZ750EE |
変速機型式 | リターン式5段変速 |
タイヤ | (前)100/90-19 57H(後)120/90-18 65H |
▮車両プロフィール▮
'80年代になって各社から続々と新型バイクが発表され、Zブランドの地位が危うくなってきたため、これを挽回すべく1982年4月Z750FXⅡ/Ⅲの後継としてカワサキからZ750GPがリリースされた。
車体の基本構成はZ750FXⅢと大きな変更はないが、燃料供給に国産車初となるデジタル・フューエル・インジェクションが採用された。これにより、最高出力はFXⅢよりプラス3馬力の70馬力、最大トルクはプラス0.4kg-mの6.0kg-mに到達。
角型ヘッドライト、液晶インジケーター付きメーターパネル、ジュラ鍛のセパレートハンドル、ブラッククロームメッキのマフラー&エキパイ等を装備した精悍なスタイリングでホンダCB750F等のライバル車に挑戦。
しかし当時、違法に出力をアップしたトラック無線等の影響で電波シールドが甘かった「カワサキ・Z750GP」のコンピュータは誤動作の問題を発生、1983年3月に1年足らずでGPz750へとモデルチェンジされ、その後1984年2月には最高出力が77psへアップした「カワサキ・GPz750F」と車名変更となった。
車体各部にはバッテリーの電圧センサーや気圧センサー、それにエンジン温度センサーや吸気温度センサーなどありとあらゆるセンサーが配置され、マイクロコンピューターによって常に最適な状態に制御された燃料供給システムのおかげで出力特性は極めてスムーズで、
その反面キャブレター仕様のような出力変動の山谷といった脈動感が得られないために一見面白みに欠けるようにも思えるが、
キャブレター仕様のようにアクセルの反応にタイムラグを発生することがないので、コーナーの連続する峠道においてはその真価を存分に発揮することが出来た。
エンジンキーをONにするとメーターパネ内にある液晶のチェックインジケーターが点滅して各種センサーやマイコンの動作診断が行われ、異常なしの判定が出されて初めてエンジン始動が可能となります。
このバイクは、会社の同僚が事故って動かなくなったものを譲り受けて直したもので、ひょんなことから我が家の一員になった子(バイク)です。
事故の損傷はフロント部分だけで、他にはほとんどダメージは無かったのですが、同僚が事故の精神的な後遺症で乗るのが怖くなったため、私が引き取ることになりました。
修理後は走りに全く異状はなく、毎回エンジンスタート前の液晶ランプの故障診断ルーティンを楽しみながら、よくツーリングに出掛けていました。
インジェクションの乗り味ですが、トップで4,000回転あたりでもスムーズに走れる粘り強さがありながら、低いギヤでぶん回せばあっという間にフロントを浮かせてしまう瞬発力もあります。 ただ、普段はそんな激しい乗り方はせずどちらかと言えば、シフトチェンジに気をつかわずに走れるスムーズな出力特性を生かしたロングツーリングで活躍してくれていました。
当時は各社とも次から次へと新型を出して激しく首位争いを繰り返しており、その争いの中でZ750GPも販売開始から僅か1年足らずでカタログの表舞台から消えてしまい、非常に短命なモデルとなってしまいましたが、特筆すべきは何と言ってもこの時代にフューエル・インジェクションを採用したことでしょう。
1986年5月3日
石川県輪島市
白米千枚田にて